「チ。-地球の運動について-」オクジーの魅力徹底解剖!絶望から希望への感動的変化

チ。-地球の運動について-「オクジー」キャラクター紹介 チ。-地球の運動について-

「天国へ行きたい」と願った男が、なぜ「この地球(かんどう)を守る」と誓ったのか

『チ。-地球の運動について-』は、地動説という禁断の真理をめぐる壮大な「知の継承」の物語です。その第2章の主人公を務めるオクジーは、当初、人生に何も期待しない極めてネガティブな青年として登場します。しかし、彼の物語は、絶望の淵から這い上がり、世界に希望を見出すまでの、感動的な軌跡として描かれています。

なぜ彼は、かつて恐れていた空を再び見上げ、その美しさに感動を覚えるまでになったのでしょうか?この記事では、オクジーの人物像から、彼の内面の葛藤と変化、そして彼が「知のバトン」を繋ぐために下した決断まで、その魅力に徹底的に迫ります。


オクジー プロフィール:虚無を抱えた心優しき代闘士

オクジーは、貧しい下級市民の「代闘士」として、日々の生計を立てていました。長髪を後ろで団子状に纏めた特徴的な髪型と、優れた視力を持っています。その心の奥底には、現世に何も期待せず、早く天国に行きたい」と願うほどの虚無感を抱えていました。神父から「夜空が綺麗なのは、汚れた底辺である地球から見上げてるからだ」と教えられ、空を見上げることを恐れていました。

受動的な姿勢で流されるように地動説と関わる中で、ネガティブなオクジーの内面も変化していきます。文字をほとんど読むことができなかったオクジーですが、後にヨレンタから文字を教わり、文章を書く喜びを知ることになり、自らの体験を本に書き残そうとします。


性格と魅力:ネガティブ思考の裏に隠された「希望」

性格と魅力①:虚無主義と自己否定

物語の当初、オクジーは人生に何の期待も持たない、徹底したネガティブ思考の持ち主として描かれています。民間警備組合の「代闘士」として貧しい生計を立てる日々は、彼にこの世の虚しさを感じさせ、「早く天国へ行きたい」と願うほどでした。

彼は、かつて神父から「夜空が綺麗なのは、汚れた底辺である地球から見上げているからだ」と教えられたことが心の枷となり、美しい夜空を素直に見上げることすら恐れていました。これは、彼が自分自身の存在価値を否定し、この世界そのものを汚れたものと見なしていたことの表れです。

オクジーは、自らの人生を無意味で価値の無いものだと信じ、ただ死を待つかのように生きていました。この深い虚無感は、彼の行動や言動の根底にあり、読者はその悲痛な内面に心を揺さぶられます。しかし、この絶望的な初期設定があるからこそ、後の彼の劇的な変化が、より一層際立つことになります。

性格と魅力②:地動説に見出した希望

オクジーの運命は、地動説という禁断の真理との出会いによって一変します。異端者や僚友グラスとの別れ、そして天才修道士バデーニとの出会いによって、彼は地動説が語る「この地球は動いている」という真実に触れます。それは、彼が汚れていると信じていたこの世界が、実は広大な宇宙を巡る美しい星の一つであるという、衝撃的な真理でした。

この発見は、オクジーの心を覆っていた虚無主義の殻を打ち破ります。彼は、かつて見上げることを恐れていた夜空を再び見つめ、その中に計り知れない美しさと感動を見出します。地動説は、彼に「この世界は終わっていない、生きるに値する」という希望を与え、自らの生に意味を見出すきっかけとなるのです。

性格と魅力③:理想主義的な誠実さと優しさ

オクジーのネガティブな言動の裏には、揺るぎない誠実さと、理想主義的な優しさが隠されています。彼は自らも貧しい生活を送りながら、困窮した人々にパンを分け与えるなど、見返りを求めない施しを続けていました。これは、彼が神の教えを信じ、天国へ行きたいという思いからくる行動でしたが、その根底には弱者への共感と純粋な善意がありました。

また、彼は一度交わした約束を重んじる律儀な一面も持っています。地動説の資料が入った石箱に「ポトツキに利益の一割を渡す」という手紙を見つけた際、利己主義のバデーニがその手紙を燃やそうとしたのに対し、オクジーは頑なにその約束を守ろうとします。

地動説という大きな真理に翻弄されながらも、人間としての誠実さと優しさを失わないオクジーの姿は、読者の共感を呼び、彼を単なる悲観的な青年ではない、魅力的な主人公として確立させています。


物語での役割と成長:絶望から希望への壮大な転化

運命の出会いとグラスとの別れ

オクジーの真の物語は、僚友であるグラスと共に異端者の護送任務にあたるところから始まります。この任務中に、グラスは護送中の異端者から「この地球は天国なんかよりも美しい」という言葉を聞き、心を動かされます。しかし、異端者は異端審問官ノヴァクに殺害され、オクジーは異端者からネックレスと、そして地動説の資料が入った石箱を託されます。

オクジーはグラスと共に、その石箱の謎を解くためにバデーニの元へ向かいますが、途中でグラスは事故に遭い、命を落としてしまいます。グラスから希望を託されたオクジーは、一人でバデーニと出会うことになります。

地動説との関わりで見せる変化

グラスとの悲しい別れを経て、オクジーはバデーニと出会い、自身の意志とは無関係に地動説の探求に巻き込まれていきます。しかし、この偶然の出会いこそが、彼の人生を劇的に変えるきっかけとなりました。

傲慢な天才バデーニに言われるがまま、地動説研究の手伝いをする中で、オクジーはそれまで信じていたネガティブな固定観念が揺らいでいくのを感じ始めます。そして、彼は自らの意思で行動を起こします。文字を読むことが得意ではなかったオクジーが、ヨレンタから文字を習い、自らの手で文章を書く喜びを知ったのです。彼が書き記したのは、地動説という真理に触れてからの日々と、そこで得た「感動」でした。

これは、単なる日記ではありません。虚無主義の殻を破り、この世界に希望を見出したオクジーが、その感動を自らの手で「形」として残そうとした、まさに自己肯定の行為でした。この時、オクジーにとって地動説は、ただの学説ではなく、彼の人生を救い、生きる意味を与えてくれた希望そのものとなったのです。この変化は、オクジーが受動的な存在から、自らの信念を持って生きようと成長した証であり、後の究極の決断へと繋がる重要な一歩となりました。

命を賭けた決断と覚悟

バデーニとの出会い、そして地動説の研究に巻き込まれていく中で、オクジーの人生は大きく変化します。しかし、地動説が完成したのも束の間、異端審問官ノヴァクが彼らの元に迫ります。

その時オクジーは、これまでの虚無を抱え、早く天国に行きたいと願っていた自分とは決別します。彼は、バデーニが逃げるための時間稼ぎに、たった一人で異端審問官に立ち向かうことを決意します。彼は、自らの命を犠牲にしてでも、地動説という「感動」を後世に託すことを選ぶのです。オクジーのこの行動は、彼が「知のバトン」を命がけで次へと繋ぐ、重要な中継点としての役割を「自らの意志で」果たしたことを意味します。


他キャラクターとの関係性:オクジーの人生を変えた運命の交差点

オクジーは様々な人々と出会い、彼らとの関わりを通じて、内面的な成長を遂げていきます。それは物語が抱える多くのテーマと密接に結びついています。

バデーニ:「知」が生み出した相互理解

オクジーとバデーニは、第2章の中で最も重要な関係性を築いた二人です。当初、彼らは性格も思想も全く異なる存在でした。オクジーは現世に絶望し、天国を願う孤独を抱え、バデーニもまた、その傲慢さゆえに誰とも心を通わせられない孤独を抱えていました。しかし、ラファウたちから受け継いだ地動説によって、彼らの運命は交錯します。

オクジーはバデーニの雑用係として、地動説の研究に巻き込まれていきますが、この関わりこそが互いの心を少しずつ変えていきました。バデーニはオクジーの書いた素直な「感動」に触れ、それまで無価値だと考えていた「他者に何かを残すこと」の意義に目覚めます。一方で、オクジーもバデーニとの関わりや地動説に触れることで、心を動かされてゆきます。

互いの異なる思想や価値観をぶつけ合いながらも、最終的には互いを対等な存在として認め、尊重し合うようになった二人の関係は、異なる思想を異端と断罪する教会やノヴァクの在り方と合わせ鏡となっています。

グラス:希望を託した僚友

オクジーとグラスは、民間警備組合の代闘士として共に働き、異端者護送の任務によって大きな運命に巻き込まれていきました。二人は対照的な性格ながらも強い絆で結ばれていました。愛する家族を亡くしたグラスは、家族との出会いをくれたこの世界を肯定することに希望を見出していました。異端者の言葉にグラスが感化されたのは、その言葉がグラスの望みそのものだったからに他なりません。

自らが進む道を決める事さえ出来ないオクジーは、言われるがままグラスに同行する事になります。そして、グラスが石橋の崩落でオクジーに希望を託して命を落とす事が、オクジーが地動説研究により深く関わる決定的な切っ掛けとなります。グラスから託された希望は、オクジーを経由してさらに後世へと託されることになります。

ヨレンタ:文字が紡いだ「奇蹟」の絆

オクジーとヨレンタの関係は、知識と感動を分かち合う、心温まるものとして描かれます。当初、オクジーは読み書きがほとんどできませんでしたが、天文研究所の助手であるヨレンタに文字を教わることを願い出ます。ヨレンタは、オクジーの純粋な探求心に触れ、彼に読み書きを教えます。

この交流は、オクジーにとって単なる学習の機会にとどまりませんでした。彼は、文字を習得することで、自らの内なる感動を書き記す喜びを知り、「地動説という感動」を後世に残すこととなります。

二人の関係は、身分や立場を超え、純粋な知識欲と敬意によって結びついた、この物語における望ましい人間関係の一つです。オクジーが「知の継承者」となる上で、ヨレンタの存在は不可欠でした。そして、これによって二人は「奇蹟的な再会」をすることになります。

ノヴァクとの関係:命を賭けた信念の衝突

オクジーとノヴァクの関係は、真理と権力の衝突を象徴しています。異端審問官であるノヴァクは、教会の教えを絶対とする存在であり、地動説という異端思想を徹底的に排除しようとします。彼の存在は、地動説を研究する者たちを脅かす最大の障壁として描かれています。

オクジーは、地動説という希望を見出したことで、かつての虚無的な自分とは決別しました。そして、バデーニが逃げる時間を稼ぐため、ノヴァクたち異端審問官にたった一人で立ち向かう決意を固めます。

この時、オクジーは「この地球(かんどう)を守る為に地獄へ行ける」と語り、自らの命を顧みずに聖職者であるノヴァクに刃を向ける覚悟を決めました。この壮絶な戦いは、「知」のために命を懸ける者と、「血」によって、それを排除しようとする権力との、避けられない衝突として描かれました。


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